DIY溶接機を買う前に学んでおきたい重要事項

溶接

DIYをしていて無いと作業ができない機械はたくさんありますが、中でも買いづらいのが溶接機ではないでしょうか。

DIYで溶接するのに覚えておくこと

溶接機には大きく分けふたつの種類があり、『ガス溶接』と『電気溶接』とがあります。ガス溶接には器具だけじゃなく酸素やアルゴンなど、溶接に使用する『ガス』が必要なため、DIYで使うなら電気溶接が一般的です。

さらに溶接の分類として、『融接』『圧接』『ろう接』という方法があり、ひとことで溶接と言われた場合には、アーク溶接を指すことが多いとおもいます。

溶接の種類や方法にかんして下記のページがわかりやすく書いてあるので、興味があるかたは読んでください。

溶接の種類【基礎講座】使い分けとメリット!3分でわかる金属加工で代表的な溶接とは
https://mitsu-ri.net/articles/welding-typical-type#

DIYで使えるものはアーク溶接

アーク溶接(溶融)にも種類があり、DIYで使うには『ガス』を使わなくてもできる溶接が、コスト的にもおすすめです。

ガスを使わなくても使える溶接機は、手動で溶接棒を使うアーク溶接機と、ノンガスで使えるmig溶接機(半自動)がいいと思う。自前でアルゴンガスを準備できるのなら、tig溶接機もいいのですが、ガスボンベの管理が大変になる。これらをふまえると、昔ながらの溶接棒タイプかノンガスmig溶接機がおすすめ。

基本的にガスを使う溶接はハードルが高いので、電気溶接が素人でも扱えるものと思っておいたほうがいい。

半自動溶接機には、『mag』『mig』『tig』と3種類あるので、購入するときには注意してほしい。

半自動溶接機で評価が高いのはこれ

溶接棒タイプはスティッキーがいいようですが、amazonにはスティッキー80が登録されていないので、僕は楽天で買いました。amazonで買いたいなら、同じメーカーが出してる『アイマックス60』でも良さそうです。

僕が買ったスティッキーと同じメーカーで、ホームワークナビプラスという溶接機が安いのですが、交流溶接機よりも直流溶接機が使いやすいみたい。価格は魅力的ですが、使いづらいものよりも使いやすい道具でサクッと作業を終わらせたい。

溶接機が届いたら試験的に治したいものを溶接してみたいと思います。

出力の大きすぎるものは無駄になる

溶接機の出力は機械の型番などに表れている。名は体を表すということ。

僕が購入を決めたSUZUKIDのスティッキーですが、80という溶接機で定格入力電流が『30A』となっています。ここで???とならないと、DIYで特殊な機械を使うのはやめておいたほうがいいでしょう…

STICKY80
これから溶接を始める方へ推奨の3つの機能を搭載! ホットスタート機能 溶接スタート時に瞬間的に電流値を上げ、アークスタートがスムーズに行えます。 アークフォース機能 溶接棒が溶けていく中で、対象物との

一般家庭用1ooVの分電盤についているブレーカーは『20A』なので、最大出力では使うことができません。このあたりのことは、購入した溶接機の説明書を読み込んでほしいのですが、スティッキー80のケースで説明していきます。

100V溶接機でも『溶接棒は2.6Φまで使えます!!!』などと書いていますが、家庭用コンセントで使用できるのはせいぜい『1.6Φ』までと考えておきましょう。それ以上のものを使うと、溶接機の電流設定を上げないと溶接できないし、容量を上げた状態で使うと最悪の場合には火災なんてこともありえます。

100V専用機で使う場合の注意点

  • 溶接電流50A以下で使うこと
  • 溶接棒は設定に合わせΦ1.6以下のもの
  • 溶接する母材の厚みは3mm以下までにすること

以上のことを念頭に購入する溶接機の選定をすると、SUZUKIDのIMAX60は家庭用コンセントで使用できるギリギリを攻めているので、ちょうどいい機械といえる。僕が購入を決めたスティッキー80は、家庭用電源には少し容量が大きいといえますね。

溶接するのに持っておきたいもの

金属溶接するのには溶接機だけあってもダメで、その他必要な道具も忘備録として記録しておく。

  • 溶接機
  • 溶接面(遮光マスク)
  • 溶接棒(溶接棒タイプのみ)
  • ガスレスワイヤ(mig半自動溶接機用)
  • 皮手袋(軍手ではダメ)
  • 防じんマスク
  • できれば溶接用エプロン
  • チッピングハンマー
  • ワイヤブラシ

上のリストが溶接するときに必要なもので、エプロンはなくても大丈夫だがあれば安心できるとおもう。また、使用する溶接機によって、溶接棒とガスレスワイヤを選択するかんじですね。僕が購入を決めたスティッキー80は溶接棒式なので、こんかいはステンレス用の低電圧溶接棒を購入しています。

このリスト以外にも溶接をするときにあると便利な小道具がたくさんあります。ですが、溶接がはじめてでとりあえず試したい場合などは、上記のものがあれば問題ありません。

溶接機

溶接機自体は好みのものを選んで問題ないですが、手動なのか半自動なのかはしっかり区別して購入しましょう。購入するもので、溶接棒なのか溶接ワイヤを買うのかが変わってきます。

ここではDIY目的なので、100V溶接機で書いていますが、電源を準備できるなら単相200Vや三相200Vの溶接機でもかまいません。

要するに自分が準備できる電源に合わせた溶接機を買いましょうということ。

また、アルゴンガスや炭酸ガスを準備できる環境なら、mag溶接などもいかもしれません。

しかし、溶接未経験者なら、ひとまず溶接棒タイプの手動アーク溶接機を買い、慣れてきて自分が溶接したいものに合わせたものを追加で購入するのがおすすめです。いきなりお高い半自動溶接機よりも、1万円台中頃で買える手動溶接機で練習してからにしましょう。

僕は業務用の三相200Vの半自動を使ったことありますが、自分が溶接上手くなったと勘違いするほど簡単でしたw

溶接棒(溶接棒タイプのみ)

手動アーク溶接機では、ウェルディングロッド呼ばれる棒を電極に取り付けて、溶接を行います。手動アーク溶接は『被覆アーク溶接』とも呼ばれ、溶接棒の芯材は溶接する母材と同じ材質を使うので、ステンレスや鉄といった素材ごとに使用する溶接棒を用意する必要がある。

ちなみに、溶接棒のまわりに付いているものはフラックスで、溶接棒の芯材が母材に密着するために存在している。

家庭用100Vコンセントで溶接をする場合では、低電圧用の溶接棒を使いましょう。評判がいいのはSUZUKIDの低電圧溶接棒なので、最初はそういったものを買うのがいいでしょうね。(僕も買いました。)

ガスレスワイヤ(mig半自動溶接機用)

溶接機が半自動タイプなのであれば、溶接棒の代わりにワイヤーを使用します。同じmig溶接でも、通常の溶接機は『アルゴンガス』を溶接箇所に吹き付けながら溶接しているので、以前は家庭用半自動溶接機は存在していなかった。

ところが溶接ワイヤにはノンガスフラックスワイヤというものがあり、それがノンガス半自動溶接機で使用できる溶接棒となっています。通常は不活性ガスで溶接箇所が酸素にふれるのを防いでいますが、金属にフラックスを混ぜワイヤー状にしたものがガスレスワイヤということ。

ガスを使う溶接機ではソリッドワイヤ(純粋な金属ワイヤ)を使うので、家庭用半自動溶接機のワイヤを購入するときは注意してください。

溶接をしないとできないDIYのアイデアが増えてきたら、僕もガスレス半自動を買うかもしれませんw

100VのDIY溶接機でもアルミ溶接できる(要アルゴンガス)が存在するので、アルゴンガスの入手ができるようならチャレンジするのもいいかもですね。SUZUKIDの『Arcury120』でできるようなので。

溶接面(遮光マスク)

溶接面にはいくつか種類があり、ふたつの要素でなりたっています。

  • 手持ち面
  • フリップアップタイプ

溶接面を手で持つのか、頭に装着するかの違いがひとつめ。

  • 常時遮光
  • 自動遮光

次は遮光ガラスで、常時遮光状態のガラスを使っているのか、光センサーで液晶フィルターが自動的に調光するもの。

楽なのはフリップアップタイプで両手を自由に使い、自動遮光で目を保護するのがいいでしょうね。ただ、自動遮光面は少し高いので、僕は安価な手動面を買いましたw

皮手袋(軍手ではダメ)

溶接で使う保護手袋といえば、僕のおじいさんが鍛冶屋だったころから皮手袋と相場が決まっています。皮の手袋が準備できない場合は、最悪でも綿100%の軍手を使いましょう。

絶対にやってはいけないのが化学繊維でできた軍手です。スパッタ(溶接の火花)が飛んできて、軍手が溶け皮膚にくっついてしまうから。かなり強めの火傷をすると思っておいてほしい。

防じんマスク

まずはじめに知っておいてほしいことは、溶接をするときに発生する煙についてです。

溶接時に出る煙は『溶接ヒューム』と呼ばれ、実際には煙ではなくアークによって溶かされた金属の蒸気なんです。この溶接ヒュームを吸い込むことで、肺の中に細かい金属粒子が入り込むことになる。

溶接ヒューム(金属粉塵)を吸い続けることで『じん肺』となり、肺がんや肺結核、続発性気管支炎などを引き起こす原因となる。じん肺は初期症状がほとんどなく、場合によっては数年~10年以上を経てじん肺が発症することもある。

詳しくは厚生労働省が発行している『アーク溶接作業における粉塵対策』を読んでください。

読んでみましたか?僕のおじさんが鉄骨屋さんなので、じん肺の怖さを叩き込まれています。以降は防じんマスクの重要性を感じ、溶接機を借りるときも防塵マスクはかかしていません。

ということで、防じんマスクを準備してから溶接してください。マスクが無ければ溶接しないくらいの決断力が必要です。

できれば溶接用エプロンと綿の作業着

溶接というのは、アーク放電と呼ばれる力を使い金属を溶かすことなんです。バッテリーなどを短絡させると『バチッ!』と火花がでるアレですね。そのアーク放電により大量の熱を出すので、火災や火傷の対策をしなければなりませんが、自身の体を炎から守るために必要なことがある。

体をまもるための作業着や防護具なんですが、溶接にかんしては耐火性のあるものを使わないといけません。

そこで材質の問題がでてくるのですが、化学繊維は身につけてはダメで、溶けて体にくっついて大やけどなんてことも。ポリエステルなどの化学繊維でも、難燃加工された特殊な生地であればもんだいはないのですが…

1番いいのが革製品で、エプロンなどは溶接用の革エプロンがいいでしょう。作業着は動きやすさも考慮すると、綿100%の『つなぎ』などがおすすめ。見落としがちな靴も、長靴などではなく、革や合皮の安全靴が理想的。

チッピングハンマー

チッピングハンマーとは、溶接時に付着したスラグ(溶接の燃えカス)を、叩き壊してきれいにするための道具。

チッピングハンマーはなにも専用のものじゃなくても大丈夫なので、先端が尖った打ち付けやすい金属ならなんでもいい。ブロックハンマーや電工ハンマー、ケレンハンマーなど、自分の使いやすい、かつ使いまわしできるような道具がいいでしょうね。

僕はいろいろもっていますが、ブロックハンマーで代用することが多いです。

ワイヤブラシ

溶接でワイヤブラシを使うシーンとしては、チッピングハンマーでスラグを落としたあと、付着しているスラグやスパッタを落とすのに使います。

硬いブラシ状のものならなんでもいいですが、金属製でサビを落とせるほどのブラシが理想的です。溶接用と書かれているものが1番いいのですが、無ければブラスなどの柔らかいものより、スチールなどのブラシを選択してほしい。

特に重要なのが柄の硬さで、やわらかいものだと上手に磨けない。硬いステンレスブラシなどで仕上げをしましょう。

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